同じ10,000パレット分の保管能力でも、スタッカークレーン式ASRSとシャトル式高密度倉庫では、コストが2倍、スループットが3倍も違うことがある。そして選定を間違えた側は、3年後にP&Lを見て自分の頭を叩きたくなる。昨年私は2つのプロジェクトを見た。倉庫Aは800SKU・平均40パレット/SKUでスタッカークレーン式ASRSを選んだ。倉庫Bは6,000SKU・平均5パレット未満/SKUでシャトル式を選んだ。どちらも逆を選んでいた。Aのスタッカークレーンは、本来シャトルがやるべき仕事を一日中やっていた。Bのシャトルは棚の奥深くを行ったり来たりで、普通の選択式ラックより遅かった。

高密度保管の選定は、突き詰めれば1つだけ:あなたのSKU構成だ。この3つの境界線を押さえれば、選定会議は半分になる。

境界線その1:SKUあたりのパレット数

これが一番厳しい境界線だ。シャトルは奥行きと効率をトレードする。1レーンは20〜30パレットの奥行きまで伸ばせて、シャトルが往復する。だが致命的な弱点がある。1レーンに入るのは1SKU(あるいは厳密に1ロット)だけだ。奥のパレットに届くには、手前のパレットを全部動かさなければならない。

だから計算はシンプルだ。SKUあたりの平均パレット数を出してみよう。15を超えればシャトルが現実的になる。30を超えれば、パレットポジションあたりのコストがスタッカークレーン式より30%〜50%安い分、シャトルが有力な答えになるはずだ。8未満ならシャトルには手を出すな。レーンは埋まらず、せっかくの奥行きは無駄になり、各スロットへの独立アクセスというクレーンの強みがそのまま勝つ。

倉庫Bはこの境界線で死んだ。SKUあたり平均5パレット、レーンの奥行きは20パレット分。慢性的な半分空きだった。1回の取り出しでシャトルが何往復もすることになり、パレットあたりのサイクルタイムはクレーンより遅くなった。

高層自動倉庫の通路で稼働するスタッカークレーン

境界線その2:スループットとピーク

スタッカークレーンは「各スロット独立、高速」の戦い方だ。1通路の機械が1分間に数サイクル回し、高頻度・細切れのオーダーに向く。シャトルは「バッチで入れてバッチで出す」の戦い方だ。フルバッチの動きには爆速だが、ピースピッキングは苦手だ。

見るべき数字は1つ。レーンあたり・1時間あたりのパレット数だ。クレーンの1通路はだいたい40〜60。シャトルレーン(シャトル2〜4台)はおおむね20〜35。ただしシャトルのレーンは安く増やせる。結論。大量の大きなバッチは「安いレーンをたくさん並べる」でシャトルが勝つ。高頻度・細切れのオーダーは、クレーンの通路あたりの速度がかけがえのないものになる。

もう1つ、過小評価されている要因。ピークだ。シャトルの能力追加は、シャトル車両を1台あたり数万ドルで増やすことだ。クレーンの能力追加は通路を丸ごと1本増やすこと。桁が違う。3年で物量が倍になる可能性があるなら、シャトルの拡張性は本物の強みだ。

境界線その3:高さと建物の制約

スタッカークレーン式ASRSは、たいてい高さ20メートル以上ないと採算が合わない。15メートルを切るとパレットあたりのクレーンコストは魅力を失い、床の耐荷重や防火の問題も絡んでくる。シャトルはずっと気楽だ。8〜12メートルの普通の高層倉庫で十分回り、建物改修のコストもずっと安い。

この境界線が一番効くのは賃貸建物だ。高さ10メートルの賃貸でスタッカークレーン式ASRSを夢見る?大家はスラブにもスプリンクラーにも触らせてくれないだろうし、どうせ退去時には原状回復だ。シャトル式ラックは解体できる。引っ越すときに持っていける。3PLでは、その柔軟性は必須条件だ。

数字で正しく比較する:設備の見積だけを比べるな

すぐに使えるコストの枠組みを紹介しよう。コストのバケツは3つ。並べて比べる。

1つ目。ラック・設備・制御・設置工事を含めたパレットポジションあたりのコスト。シャトルはふつうクレーンより30%〜50%安い。ただしこれは満杯計算だ。レーンが埋まらなければ割り引きが必要になる。

2つ目。パレットあたりの年間運転コスト。電力、メンテナンス、人件費だ。シャトルは保守がシンプルで、1台死んでもシステムは止まらない。クレーンは1通路が壊れればその通路が全止まりで、予備品も高い。ここはクレーンが年間15%〜25%高くつく。

3つ目。スペース利用率。同じフットプリントなら、シャトル式高密度保管は選択式ラックの2〜3倍のパレットが入る。クレーン式ASRSは高さで勝つが、天井の低い建物ではシャトルに負けることもある。

この3つに重みをつければ、答えは自動的に出る。顧客への私の結論は「どちらの設備が優れているか」ではなく「あなたのSKU構成に合うのはどちらか」だ。設備に優劣はなく、適し方だけがある。倉庫AとBのオーナーは今ではそれを理解している。授業料はちょっと高かったけどね。

あなたの建物は、SKUあたり平均何パレットだろうか。まずその数字を出そう。選定の話はそれからだ。

英語版からの翻訳。内容に相違がある場合は英語版を優先します。